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xiphioの備忘録


2020年06月14日

_ [book] 「指揮者は何を考えているのか」ジョン・マウチェリ著

こういう本が出ている事は雑誌で知っていたが、数日前に書店で見つけて立ち読み、割と字が小さい割に330ページほどと厚いので、ちょっと思案したが、立ち読みした箇所が気になり購入。画像の説明

読み始めると、とても良く面白い本だったので、昨日までに1/3、日曜日の本日、夜までかかって一気に読了。

しかし、この日本タイトル「指揮者は何を考えているのか:解釈、テクニック、舞台裏の闘い」は、本当に「何を考えているのか」です。原題は「Maestros and Their Music : The art and alchemy of conducting」です。素直に「指揮者と音楽」(若しくは、少し考えて「マエストロ、指揮者と音楽:その手法と魔法」とか)では何故駄目だったのでしょうか?。キャッチーで、とりあえず人を引きつけるタイトルを付けてしまうって、最近酷い気がします。

最初著者名をみて、マウ?、聞いた事が無いから、書いたのは音楽ジャーナリストかなぁ、などと思ったのですが、結構実績もある指揮者ですね。「ポーギーとベス」やナチに封印された音楽のシリーズは、発売された時、結構話題になったのを覚えています。あの時の指揮者なんですね。思うに、何かこの微妙に覚えにくい名前で損している気がするのは私だけでしょうか?。長くも無いのに、とても覚えにくい名前ですよね。本読み終えて、この日記を書き出しても、覚えられませんでした。

たまたま立ち読みして興味を惹いた箇所は、タングルウッド音楽祭のくだり(小沢さんとバーンスタインが出てくる)。この間読んだ大友先生の本にも、バーンスタイン&小沢さん込みでこの音楽祭に参加した話が出てきましたので(かなり重要)、なかなか興味深かったです。もっとも時期が少し違っていまして、この本に出てくるのは1971年、大友先生が行かれたのが1981年みたいです。

_ [book] 「巡り会う才能:音楽家たちの1853年」ヒュー・マクドナルド著

ついでに、同じ音楽関係の本で、少し前に読みおえてとても良かったと思える本を。画像の説明

暫く前に、三枝先生が読んで気に入った本を2冊、六本木男声合唱団のメンバーに配って戴いたのですが、その中の一冊。もう1冊は確かヒトゲノム関係の本だったと思いますが、科学関連の本は自分で選びますので、こちらは興味を惹かず行方不明。

「巡り会う才能」の方は、何の事かな、と思いながら少し読んでみると、現在の於いても超有名な作曲家が何人も、何とこの短い時期にかなり濃密な交流を持っていたと言う詳細な事実に興味は尽きず、これも結構厚い本ながら、最後まで楽しく読んでしまいました。

地道ながら、丁寧かつ徹底した詳細な事実の積み重ね、その調査結果がこの本を、誰かの想像で書かれた嘘っぽい物語では無く、キチンとした事実の事柄として裏打ちしています。

若きブラームスの出立から始まり、シューマンのライン川投身自殺未遂で終わります。今思い返しても、本当にそんな奇跡の様な時期があったのだと、驚くばかりです。